武将浮世絵
つきおかよしとし さく「つきひゃくし しづかだけつき」 月岡芳年 作「月百姿 志津ヶ嶽月」

1582年(天正10年)に起こった「本能寺の変」より1年弱、織田信長亡きあとの権力を誰が手にするのか、大名間で緊張した関係が続いていました。
そしてとうとう1583年(天正11年)「羽柴(豊臣)秀吉」は、「柴田勝家」や「佐久間盛政」らと激突します。秀吉軍は、大垣から木ノ本までをわずか5時間で移動した「美濃大返し」をはじめ、勝家との激戦「賤ヶ岳の戦い」に勝利。この浮世絵は、その長い戦が終わり、秀吉が勝利を宣言する法螺貝を吹く場面です。
本武将浮世絵に表現されている法螺貝と月は輝かしく、音と光が空に満ちているように感じます。特に、勝利の法螺貝は、月まで届かんばかりに響き、その誇らしい音が私たちにまで聞こえるようです。あるいは、「さあ、新しい国を作ろう」という気概を表しているのかもしれません。一方で、大きな松の木にもたれかかるその姿は、戦いでの疲労で立っていられないようにも見え、勝利したことでの安堵、安らぎを得ているようにも感じられます。
