合戦浮世絵
うたがわくにさだ さく「けんしんたけだのはたもとへらんにゅうのず」 歌川国貞 作「謙信武田ノ旗本ヘ乱入之図」 - 刀剣ワールド

美人画、役者絵を得意とした「三代歌川豊国」(さんだいうたがわとよくに)は、初代「豊国」に弟子入りし、はじめ「歌川国貞」(うたがわくにさだ)と名乗り、「三代歌川豊国」を襲名、一世を風靡しました。
本合戦浮世絵は、「武田信玄」対「上杉謙信」による「川中島の戦い」(1553年[天文22年]~1564年[永禄7年])の4戦目。「甲陽軍艦」(こうようぐんかん:武田軍の軍記)に書かれたクライマックスシーンがモチーフです。手薄になった武田の本陣に、白手拭で頭を包んだ若武者が、たった一騎で乗り込んできたのを、武田家臣「原大隅守」(はらおおすみのかみ)が馬に槍を刺して何とか追い払ったのですが、その若武者こそが上杉謙信だったというお話。
「武田菱」(たけだびし)の大きな陣幕に、はためく「風林火山」の旗。ふわふわの白い毛に覆われた「諏訪法性兜」(すわほっしょうかぶと)を被り、赤装束を身にまとった総大将・信玄と副将たちの姿が、色鮮やかでとても華やか。遠近法を巧みに使い、戦国時代最大と言われた、広範囲におよぶ激戦ぶりを表現。役者絵を得意とした豊国(3代)が描いた、読まずして物語の詳細が分かる、見事な芝居絵と言えるのです。