合戦浮世絵
うたがわよしとら さく「みかわごふどきのうち てんりゅうがわごなんせんのず」 歌川芳虎 作「三河後風土記之内 天龍川御難戦之図」

本合戦浮世絵は、「徳川家康」が「武田信玄」に大敗した「三方ヶ原の戦い」における、家康軍の様子を描いた作品です。3枚続きの右側に描かれた徳川家康を無事に逃がすべく、迫り来る武田軍を相手に槍を持って奮闘する「本多忠勝」(ほんだただかつ)の様子が左側に描かれています。
本多忠勝は、徳川家康の重臣「徳川四天王」のひとり。13歳で初陣を果たして以来、戦場においては傷ひとつ負ったことがないと伝えられる猛者です。鹿の角に見立てた「脇立」(わきだて)を配した兜と、「天下三名槍」のひとつに数えられる「蜻蛉切」(とんぼきり)で有名。本合戦浮世絵の本多忠勝の兜にも、鹿角を思わせる脇立が配されています。
本合戦浮世絵の作者である「歌川芳虎」(うたがわよしとら)は、幕末期から明治時代にかけて、最も活躍した浮世絵師のひとり。師である「歌川国芳」(うたがわくによし)譲りの風刺精神を持ち合わせていたと言われています。