合戦浮世絵
うたがわよしとら さく「おうしゅうせいとう」 歌川芳虎 作「奥州征討」 - 刀剣ワールド

本合戦浮世絵は、1062年(康平5年)の「前九年の役」(ぜんくねんのえき)最終決戦と言われる厨川(くりやがわ)での戦いの様子を描いた絵図です。
向かって右側にいるのは、「源義家」(みなもとのよしいえ)、中央には「安倍貞任」(あべのさだとう)、左側で取り押さえられているのは「藤原経清」(ふじわらのつねきよ)。
約12年にも亘る「奥州十二年合戦」の前半部分とされる「前九年の役」は、陸奥国(現在の宮城県仙台市)北部で隆盛を極めていた「安倍氏」と、「清和源氏」出身である「源頼義」(みなもとのよりよし)の間で起きた争いです。
それまでの争いでは、安倍軍が幾度となく勝利を収めて勢力を拡大しており、今回も安倍軍に有利かと思われていました。しかし、源頼義率いる朝廷軍に出羽国(でわのくに:現在の秋田県・山形県)の豪族「清原光頼」(きよはらのみつより)が加勢したことで状況は逆転。安倍貞任は苦戦を強いられて大敗。捕らえられた安倍貞任は、源頼義の前に連れ出されますが、源頼義を睨みつけるとそのまま息絶えたと言われています。
また、源頼義を裏切り安倍軍に就いていた藤原経清は、源頼義から特に深い恨みを持たれており、捕縛されたあと、源頼義は刃の錆びた日本刀を用いて藤原経清を斬首。この戦いをもって「前九年の役」は終結し、安倍氏は滅亡しました。