武将浮世絵
まんじろうほくが さく「ちんせつゆみはりづきかんちゅうりゃくず やまお<おおかみのななり>あるじのためにちょうだをかんでさんちゅうにからだをやむ」 卍楼北鵞 作「椿説弓張月巻中略図 山雄<狼ノ名也>主のために蟒蛇を噛で山中に躯を止む」

本武将浮世絵(武者絵)は、江戸時代後期の戯作者「曲亭馬琴」(きょくていばきん)が書いた伝奇物語「椿説弓張月」(ちんせつゆみはりづき)の一場面を描いた絵図。
弓の名手「源為朝」(みなもとのためとも)が狩りのために、従者「須藤重季」(すとうしげすえ)と、「山雄」(やまお)と名付けた狼を引き連れて山中に入り、疲れて眠ってしまったときのこと。突然山雄が咆哮して、源為朝に飛び掛ろうとしたため、これに驚いた須藤重季は山雄の首を切り落としてしまいます。
しかし、首だけとなった山雄は、木の上にいた大蛇に食いつき、大蛇もろとも地面へと落下しました。山雄は、2人に危険を知らせるために吼えたのです。それに気付いた源為朝たちは、山雄の忠節に感心して涙を流しました。
本武将浮世絵の作者は、江戸時代に活躍した浮世絵師「卍楼北鵞」(まんじろうほくが)。江戸時代を代表する浮世絵師「葛飾北斎」の門人、または「抱亭五清」(ほうていごせい)の門人であったと言われており、錦絵や肉筆画などの作品が残っています。