武将浮世絵
つきおかよしとし さく「よしとしむしゃぶるい げんさんいよりまさ」 月岡芳年 作「芳年武者无類 源三位頼政」

草原に坐し、一句したためている老兵士は、平安時代末期の武将「源頼政」(みなもとのよりまさ)です。本武将浮世絵(武者絵)は、源頼政が今まさに自害しようとしている場面を描いています。
平家が思うままに権力を振るっていた時代。源頼政は、「後白河法皇」(ごしらかわほうおう)の皇子「以仁王」(もちひとおう)と共に平家打倒を掲げ挙兵しました。しかし、この反乱は失敗に終わり、源頼政は敵軍に追い詰められます。本図右奥で高々と翻るのは平家の旗です。覚悟を決めた源頼政は、まとっていた甲冑(鎧兜)を脱ぎ置いて辞世の句を詠み、自害して果てました。
その辞世の句とは、「埋木の 花咲くことも なかりしに 身のなる果てぞ 悲しかりける」。
意味は「埋もれ木の花が咲くことがないように、自分の生涯も不本意に終えなければならないのは悲しいことだ」となります。
本武将浮世絵(武者絵)の制作者「月岡芳年」(つきおかよしとし)は、幕末から明治時代初期に活躍した浮世絵師です。武将達の印象的な姿を見事に描写した「芳年武者无類」(よしとしむしゃぶるい)のシリーズを、大判32枚揃で残しています。
