武将浮世絵
つきおかよしとし さく「よしとしむしゃぶるい しのづかいがのかみさだつな」 月岡芳年 作「芳年武者无類 篠塚伊賀守貞綱」

巨大な木材を抱え、踏ん張っているのは、南北朝時代に剛力無双で知られた武将「篠塚重広」(しのづかしげひろ)です。本武将浮世絵(武者絵)では、「篠塚伊賀守貞綱」(しのづかいがのかみさだつな)と表記されています。
「後醍醐天皇」(ごだいごてんのう)の忠臣「新田義貞」(にったよしさだ)に仕える篠塚重広は、敵軍の北朝方が立てこもる近江(現在の滋賀県)の「三井寺」攻略に参戦。
堅牢な石垣と深い堀に守られた三井寺を南朝方が攻めあぐねていたとき、篠塚重広が寺の外にあった卒塔婆(そとば)を持ち上げ、それを堀に渡して橋とし、攻め込んだと言われています。
本武将浮世絵(武者絵)は、幕末から明治時代初期に活躍した浮世絵師「月岡芳年」(つきおかよしとし)が手がけた大判32枚揃のシリーズ「芳年武者无類」(よしとしむしゃぶるい)の1作です。臨場感あふれる斬新な構図に、月岡芳年の類まれな才能が窺えます。
