合戦浮世絵
うたがわくによし さく「かわなかじまだいかっせんのず」 歌川国芳 作「川中島大合戦之図」 - 刀剣ワールド

甲斐国(現在の山梨県)の戦国大名で「甲斐の虎」と恐れられた「武田信玄」と、越後国(現在の新潟県)を治め「越後の龍」と呼ばれた「上杉謙信」は、北信濃(現在の長野県北部)の覇権を巡り5度にわたって戦いました。これらの戦いは、千曲川(ちくまがわ)と犀川(さいがわ)が合流する三角地帯の川中島周辺で行なわれたことから、「川中島の戦い」と総称されています。
そんな、長きにわたる戦いの間には、和睦(わぼく)の機会もあったのです。本合戦浮世絵は、1558年(永禄元年)5月15日に、武田軍と上杉軍が和睦について話し合うため、千曲川を挟んで対面したときの様子が描かれています。しかし、ここでは床几(しょうぎ:折り畳み式の腰掛け)に坐した上杉謙信に対して、武田信玄が馬上から呼び掛けたため無礼とされ、両者の和睦は成立しませんでした。
本合戦浮世絵の制作者である「一勇齋国芳」(いちゆうさいくによし)は、江戸時代末期の人気浮世絵師「歌川国芳」(うたがわくによし)の画号のひとつです。
多種多様な題材で多くの傑作を残した歌川国芳は、合戦浮世絵や武者絵でも才能を遺憾なく発揮。本合戦浮世絵においても、千曲川の流れを大胆に取り入れることで、両雄が対峙する緊張感を見事に表現しています。