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とよはらくにちか さく「だんしちくろべえ いちかわだんじゅうろう」 豊原国周 作「団七九郎兵衛 市川団十郎」 /ホームメイト

本役者浮世絵は、歌舞伎の伝統的演目「夏祭浪花鑑」(なつまつりなにわかがみ)の登場人物「団七九郎兵衛」(だんしちくろべえ)を演じる歌舞伎役者「市川団十郎/團十郎」(いちかわだんじゅうろう)を描いた絵図。
「夏祭浪花鑑」は、全9段から成る人気の大作。大阪では「夏の風物詩」として毎年上演されています。大阪の下町で生きる任侠達の物語であり、現実に起きた複数の出来事をもとにした作品として有名。
本役者浮世絵は、演目の7段目「長町裏」(通称[泥場])で「団七九郎兵衛」が舅の「三河屋義平次」(みかわやぎへいじ:団七九郎兵衛の妻[お梶]の父で浮浪児だった団七九郎兵衛を長年世話した人物)を刀剣で斬り捨てる場面と推測されます。
三河屋義平次は、欲に目がくらむ醜悪な老人で、団七九郎兵衛の恩人である「玉島兵太夫」(たましまひょうだゆう)の息子「玉島磯之丞」(たましまいそのじょう)が愛した遊女「琴浦」(ことうら)をさらった挙句、身売りさせようとしました。団七九郎兵衛は、急ぎ駆け付けて三河屋義平次を説得しようとするものの、揉みあいの末に斬り殺してしまうのです。
本役者浮世絵の作者は、「豊原国周」(とよはらくにちか)。豊原国周は、明治時代を代表する役者絵絵師で「役者絵の国周」や「明治の写楽」とも呼ばれています。長谷川派「豊原周信」(とよはらちかのぶ)と3代目「歌川豊国」に師事し、数多くの役者絵を手掛けました。
