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とよはらくにちか さく「いせおんど こいのねたば」 豊原国周 作「伊勢おんど 恋のねた刃」 /ホームメイト

本役者浮世絵は、歌舞伎の演目のひとつ「伊勢音頭恋寝刃」(いせおんどこいのねたば)を題材としています。伊勢音頭恋寝刃は、伊勢(三重県伊勢市)を舞台にした、名刀を巡るお家騒動の物語です。
お家乗っ取りをたくらむ悪人が、家宝の刀剣「青江下坂」(あおえしもさか)と鑑定書である折紙を盗みます。その責任を問われ、青江下坂を管理していた家老の家が断絶。浪人の身になった家老の息子「今田万次郎」(いまだまんじろう)が、青江下坂と折紙を探し、それに協力するのが「伊勢神宮」の御師(おんし:神社付きの下級神官)で、主役の「福岡貢」(ふくおかみつぎ)です。
物語の見せ場となるのは、伊勢の遊郭「油屋」(あぶらや)での大立ち回り。制作者の「豊原国周」(とよはらくにちか)は、歌舞伎役者の「尾上菊五郎」(おのえきくごろう)が演じる福岡貢の姿に焦点を絞り、印象的に表現。福岡貢が手にしている刀剣が青江下坂です。
なお、表題の「ねた刃」とは「寝刃を合わせる」を意味し、刃を研ぐことですが、転じて、密かに物事を企てることも表わしています。