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うたがわちかしげ さく「すがわらでんじゅてならいかがみ」 歌川周重 作「菅原伝授手習鑑」 /ホームメイト

本役者浮世絵は、歌舞伎の演目「菅原伝授手習鑑」(すがわらでんじゅてならいかがみ)を描いた1枚です。
菅原伝授手習鑑は、901年(延喜元年)、平安時代に起きた「昌泰の変」(しょうたいのへん:菅原道真[すがわらのみちざね]の失脚事件)をもとに、「親子の別れ」を描いた物語。
本役者浮世絵の中央で、儀仗用の白い拵(こしらえ)が付いた貴族らしい太刀(たち)を携えて、美しい衣装をまとっているのは、「市川団十郎/團十郎」(いちかわだんじゅうろう)が演じる「藤原時平」(ふじわらのときひら)。藤原時平は、菅原道真を讒言(ざんげん:ありもしないことを目上の人に告げ、その人を悪く言うこと)により陥れ、藤原政権を確立した人物です。
のちに、藤原時平はこの太刀を抜き、菅原道真の霊と闘うことになります。あとの3人は3兄弟で、「市川左團治」(いちかわさだんじ)が演じる「舎人梅王丸」(とねりうめおうまる)は菅原道真に仕え、「尾上菊五郎」(おのえきくごろう)が演じる「舎人桜丸」(とねりさくらまる)は「斎世親王」(ときよしんのう)に仕え、「中村宗十郎」(なかむらそうじゅうろう)演じる「舎人松王丸」(とねりまつおうまる)が悪党の藤原時平に仕えたため、数奇な運命に翻弄されることになりました。時代物の3大名作のひとつと言われ、250年以上も上演されている傑作です。
本役者浮世絵を描いたのは、明治時代に活躍した「守川周重」(もりかわちかしげ)。歌川派「豊原国周」(とよはらくにちか)の門人で、役者絵、芝居絵、新聞挿絵を得意としました。