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うたがわくにさだ さく「すがわらでんじゅてならいかがみくるまびき」 歌川国貞(三代) 作「菅原伝授手習鑑 車引」 /ホームメイト

本役者浮世絵は、歌舞伎の演目「菅原伝授手習鑑」(すがわらでんじゅてならいかがみ)の一幕、「車引」(くるまびき)を描いた1枚です。
菅原伝授手習鑑は、学問の神として知られる「菅原道真」と菅原道真の運命に翻弄される人々の物語。平安時代、右大臣・菅原道真は、所領で「3つ子」に出会います。3つ子とは珍しく縁起が良いと、3人とも菅原道真の口利きで貴人の舎人(とねり:牛車の牛飼い)の仕事をいただくことになりました。3つ子のうち「梅王丸」は菅原道真の舎人、「桜丸」は斎世親王の舎人、「松王丸」は左大臣「藤原時平」の舎人となったのです。ところが、菅原道真は藤原時平の中傷により大宰府に左遷。梅王丸、桜丸は、恩人の敵である藤原時平に恨みを持つようになりました。そんな2人の前に、藤原時平が乗った牛車(ぎっしゃ/ぎゅうしゃ)が現われたのです。
本役者浮世絵の中心で、白い立派な装束を着ているのが藤原時平に扮する「市川左団次(初代)」( いちかわさだんじ)。その下で守っているのが梅王丸に扮する「市川團十郎(九代)」(いちかわだんじゅうろう)。右には松王丸に扮する「中村芝翫」(なかむらしかん)。一番左には桜丸に扮する「尾上菊五郎(五代)」(おのうえきくごろう)がいます。これから何が起こるのが、ぜひ演目を観に行きたくなるほど華やかな名場面。
本役者浮世絵を描いたのは、幕末から明治時代にかけて活躍した「歌川国貞(三代)」(うたがわくにさだ)。開化絵、美人画、役者絵に長け、中でも市川左団次の似絵を得意として人気がありました。