うたがわくにさだ さく「かぶきざしんきょうげんだいすのば」 歌川国貞（三代） 作「歌舞伎座新狂言臺子の場」 ／ホームメイト

本役者浮世絵は、歌舞伎「春日局」（かすがのつぼね）の一場面を描いています。

「春日局」は、1891年（明治24年）に東京歌舞伎座で初演。活歴（かつれき：史実を重んじて歴史上の風俗をそのまま表現しようとした演出様式のこと）の代表作です。2代将軍・徳川秀忠（とくがわひでただ）の後継者争いにおいて、春日局が「竹千代」（たけちよ：のちの3代将軍・徳川家光）を世継ぎにするため苦心する姿を題材にした物語となっています。

本役者浮世絵では、2幕目「臺子の間の場」（だいすのまのば）が描かれました。「市川猿之助」（いちかわえんのすけ）演じる「曽根崎五郎」（そねざきごろう）が、「市川團十郎」（いちかわだんじゅうろう）演じる春日局に背後から斬りかかろうとしています。日本刀を振り上げた曽根崎五郎をにらんでいるのは「市川権十郎」演じる徳川秀忠です。次期将軍候補の竹千代と「国千代」（くにちよ）、徳川秀忠の妻「御台所」（みだいどころ）の姿もあります。

作者の「香朝楼」（こうちょうろう）は、幕末から明治時代にかけて活躍した浮世絵師「歌川国貞（三代）」（うたがわくにさだ）の画号です。「歌川豊国（三代）」（うたがわとよくに）、「歌川国貞（二代）」に学び、歌川国貞（三代）を継いでいます。文明開化絵や役者絵を描き、初代市川左団次の似顔絵を得意としました。