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ようしゅうちかのぶ さく「くまがいじろうなおざね いちかわだんじゅうろう」 楊洲周延 作「熊谷次郎直実 市川團十郎」 /ホームメイト

平安時代末期の1184年(寿永3年/治承8年)に摂津国福原及び須磨(現在の兵庫県神戸市)で起こった「一ノ谷の戦い」は、「源平合戦」の重要な戦いのひとつとして、歌舞伎の題材にもなってきました。
本役者浮世絵では、戦いに敗れ沖の船へ逃れようとする「平敦盛」(たいらのあつもり)を、源氏方の「熊谷次郎直実」(くまがいじろうなおざね)が呼び止め、一騎打ちとなる場面が描かれています。ここでは互いに刀は抜かず、組み合いとなったのです。 熊谷次郎直実を演じるのは「市川團十郎」(いちかわだんじゅうろう)。平敦盛は「尾上菊五郎」(おのえきくごろう)が演じ、そこへ「尾上栄之助」(おのええいのすけ)が演じる平敦盛の妻「玉織姫」(たまおりひめ)が駆け寄ってきます。玉織姫は祝言を挙げたばかりの夫と離れがたく、出陣する平敦盛に無理を言って付いてきていたのです。
作者の「楊洲周延」(ようしゅうちかのぶ)は、緊迫感あふれる舞台を鮮やかな色を配して見事に描写。江戸時代末期から明治時代にかけて、45年にわたり活躍した楊洲周延の確かな力量が窺える作品です。