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かつしかほくさい さく「かなでほんちゅうしんぐらくだんめ」 葛飾北斎 作「仮名手本忠臣蔵九段目」 /ホームメイト

本浮世絵は、葛飾北斎が「仮名手本忠臣蔵」(かなでほんちゅうしんぐら)の九段目後半「山科閑居の段」(やましなかんきょのだん)を描いたもの。大星由良之助(おおぼしゆらのすけ)の息子・大星力弥(おおぼしりきや)が、塩冶判官(えんやはんがん)の切腹にかかわっていた加古川本蔵(かこがわほんぞう)を槍で突き刺す緊張の場面です。
主人公の大星由良之助は、主君の塩冶判官が高師直(こうのもろのう)により切腹させられたのち、山科にて主君の仇討ちを計画準備します。
「山科閑居の段」では、加古川本蔵の妻・登無瀬(となせ)が娘の小浪(こなみ)と大星力弥の婚約を果たそうと母子連れで大星邸を訪ねますが、大星由良之助の妻のお石(おいし)はこれを拒み、加古川本蔵の首を差し出せば婚約を認めると応酬しました。すると、虚無僧に扮して屋敷外から成り行きを見守っていた加古川本蔵が正体を明かし、お石を挑発。2人が組討ちに及んだ時、母のお石を助けようとした大星力弥の槍が加古川本蔵を刺し貫いたのです。
高師直から自分の主君を守るために取った行動が、塩冶判官の死を招いたのではと悩んでいた加古川本蔵。わざと刺されて子供達の婚約を成立させ、最期に高師直邸の図面を大星由良之助父子に託し息を引き取りました。
現在この九段目は上演機会が減っているとされますが、仇討ちに向かう直前の、登場人物の様々な思惑と感情が交錯する複雑なドラマが最大の魅力と言えます。