- 役者絵
- 役者絵とは
しゅんこうさいほくしゅう さく「なかむらうたえもん」 春好斎北洲 作「中村歌右衛門」 /ホームメイト

本役者浮世絵は、安土・桃山時代の大盗賊・石川五右衛門(いしかわごえもん)を演じる歌舞伎役者、三代目・中村歌右衛門(なかむらうたえもん:初代中村芝翫)を描いたもの。
三代目・中村歌右衛門は、江戸時代の文化年間(1804~1818年)から文政年間(1818~1830年)に、上方(大坂)で活躍した歌舞伎役者です。立役(たちやく:歌舞伎の中心的な役)、女形(おやま:歌舞伎の女役)、道化方(どうけがた:歌舞伎の道化役)など、あらゆる役柄をこなし、「兼ル」(かねる)役者と呼ばれました。
さらに脚本家でもあり俳人(俳名:芝翫)でもあった多才な三代目・中村歌右衛門は、上方のみならず江戸でも絶大な人気を誇り、多くの浮世絵師に描かれています。本役者浮世絵に描かれた緌(おいかけ:武官が正装するときに冠の左右に付ける物)は、芝翫茶(しかんちゃ)という茶色で刷られており、これは三代目・中村歌右衛門が好んだ色で、彼の俳名から名付けられました。
本役者浮世絵の作者は、春好斎北洲(しゅんこうさいほくしゅう)。江戸後期、上方の代表的な浮世絵師で、文政年間に最も活躍しました。松好斎半兵衛の門人で、一説には葛飾北斎に学んだと言われています。大首絵(おおくびえ:人物の上半身を大きく描いた浮世絵様式)を多く描きました。
■コラム
本役者浮世絵には、唐草模様塗の拵が描かれています。
石川五右衛門と言えば、アニメ「ルパン三世」に登場する十三代・石川五ェ門の斬鉄剣(ざんてつけん)を想起される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
