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うたがわとよくに さく「とうせいすいこでん」 歌川豊国(三代) 作「当世好男子伝」 /ホームメイト

本役者浮世絵は、「当世好男子伝」(とうせいすいこでん)というシリーズ絵。当時人気があった歌舞伎の登場人物などを、中国の長編小説「水滸伝」(すいこでん:江戸時代に日本へともたらされ、江戸文学に大きな影響を与えた)に出てくる人物に見立てています。
画面右は「のざらし語助」を、「九紋龍支進」(くもんりゅうししん)に見立てた作品。のざらし語助は、歌舞伎「粋菩提悟道野晒」(すいぼだいさとりののざらし)に登場する大坂の侠客(きょうかく:任侠に生きる人のこと)。九紋龍支進は「水滸伝」のなかでも人気の人物で、龍の入れ墨が特徴的です。本作では、骸骨があしらわれた着物に刀を差した姿が描かれています。
画面中央は「朝比奈藤兵衛」(あさひなとうべえ:大坂の侠客)を「花和尚魯智深」(かおしょうろちしん)に見立てた作品です。肩から腕にかけて施された赤い花模様の入れ墨と派手な着物が目を引きます。
画面左は「腕の喜三郎」を「行者武松」(ぎょうじゃぶしょう)に見立てた作品。腕の喜三郎は江戸時代前期の侠客で、歌舞伎などに脚色されています。行者武松は、中国において講談の主人公になるなど広く親しまれている人物です。龍や花の入れ墨が、腕や首など上半身に施されています。
作者の「歌川豊国(三代)」(うたがわとよくに)は、江戸時代後期に活躍した浮世絵師です。師は「歌川豊国(初代)」。「五渡亭」、「香蝶楼」などの号があります。美人画や役者絵を手掛け、膨大な作品を残しました。
■コラム 江戸時代後期の刀剣
江戸時代後期の日本刀は、時代区分で言うと「新々刀」に分類されます。この時期の名工は、「水心子正秀」(すいしんしまさひで)、「源清麿」(みなもとのきよまろ)などです。