- 役者絵
- 役者絵とは
うたがわくにまさ さく「はちすかよろく いちかわだんじゅうろう ひよしまる
おのえきくごろう」
歌川国政(四代) 作「蜂須賀与六 市川團十郎 日吉丸
尾上菊五郎」 /ホームメイト

本役者浮世絵は、「日吉丸」(ひよしまる)と「蜂須賀与六」(はちすかよろく)が出会う場面を描いたものと考えられます。日吉丸は、のちの「豊臣秀吉」(とよとみひでよし)、蜂須賀与六は、豊臣秀吉の家臣であった「蜂須賀正勝」(はちすかまさかつ)のこと。2人は、幼少の頃に矢作橋(やはぎばし:現在の愛知県岡崎市)の上で出会ったという伝説があります。
本役者浮世絵では、橋を背景に5人の人物が描かれました。中央にいるのが、「尾上菊五郎」(おのえきくごろう)演じる日吉丸、「市川團十郎」(いちかわだんじゅうろう)演じる蜂須賀与六。その脇に、「市川左團次」(いちかわさだんじ)演じる「稲田大炊」、「中村寿三郎」(なかむらじゅさぶろう)演じる「青山新八」、「市川八百蔵」(いちかわやおぞう)演じる「蟹江阿名蔵」の3名がいます。日本刀や金砕棒(かなさいぼう)などの武器を持ち、睨みあう姿が印象的です。
作者の「歌川国政(四代)」(うたがわくにまさ)は幕末から明治時代にかけての浮世絵師。「歌川国貞(初代)」(うたがわくにさだ)、「歌川国貞(二代)」に師事しました。本作に記された「梅堂」は別号です。役者絵や似顔絵を手がけました。
■コラム 豊臣秀吉と刀剣
天下人・豊臣秀吉は、刀剣の蒐集家としても有名です。数多くの名刀を集めましたが、なかでも「天下三作」(てんがさんさく)と呼ばれる「粟田口吉光」(あわたぐちよしみつ)、「正宗」(まさむね)、「郷義弘」(ごうのよしひろ)の作品を珍重しました。