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うたがわくにさだ さく「そがものがたりずえ」 歌川国貞 作「曾我物語圖會」 /ホームメイト

本役者浮世絵は、歌舞伎を題材にした「芝居浮世絵」で、「曾我物語」の一場面を描いた作品です。左から「市川海老蔵」(いちかわえびぞう)、「市川九蔵」(いちかわくぞう)、「尾上菊五郎」(おのうえきくごろう)と、1枚にひとりずつ歌舞伎界のスターを描き、3枚並べても楽しめる豪華な「三枚続」で仕上げられています。中央で大小2本の刀を差しているのが仇役、両端の1本ずつ刀を差しているのが主役の兄弟です。
曾我物語は、鎌倉時代後期から室町時代初期にかけて成立したとされる英雄伝記物語。「曾我十郎・五郎」(そがのじゅうろう・ごろう)兄弟の父「河津三郎祐泰」(かわづのさぶろうすけやす)が、「工藤祐経」(くどうすけつね)によって殺されたことにより、18年に亘る苦労の末、父の仇討ちをする物語です。江戸時代に歌舞伎化されると「曾我もの」として定着し、現在も上演されるほどの人気演目となりました。
作者の「五渡亭国貞」(ごとていくにさだ)とは、「歌川国貞」(うたがわくにさだ)の画号のひとつです。歌川国貞は、「三代豊国」(さんだいとよくに)の名でも知られています。役者絵と美人画を得意とし、22歳のデビューから79歳で亡くなるまで、10,000点を超える作品を遺しました。確かな観察眼と洗練されたデザインセンスが特徴で、本浮世絵も歌川国貞らしさが発揮された1枚と言えます。