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とうしゅうさいしゃらく さく「さんだいめおおたにおにじのかわしまじぶごろう」 東洲斎写楽 作「三代目大谷鬼次の川島治部五郎」 /ホームメイト

本役者浮世絵は、歌舞伎の演目「二本松陸奥生長」(にほんまつむつそだち)に登場する敵役、「川島治部五郎」を描いた作品。
画題の「三代目大谷鬼次」とは、歌舞伎役者の名跡(みょうせき:代々継承される個人名)のことです。背景に使用された鼠色は暗夜を示しており、襦袢(じゅばん:和装用の下着)や腰に差した刀の紅色で、陰惨な敵役を表現。また、男の赤い目の隈と、青い髭あと、そして睨んだ横顔が、不気味な雰囲気を醸し出しています。
本役者浮世絵の作者は、「東洲斎写楽」(とうしゅうさいしゃらく)と言い、江戸時代中期の浮世絵師です。たった10ヵ月間の短い期間に彗星の如く現われ、役者絵などを発表したあと忽然と画業の世界から消えた謎の絵師でもあります。出自や経歴も謎に包まれていることで、現代まで多くの学者の研究対象になり、様々な俗説が生まれました。
現在では、阿波国(現在の徳島県)の徳島藩・蜂須賀家お抱えの能役者「斎藤十郎兵衛」(さいとうじゅうろべえ)説が有力視されています。
