- 皇族浮世絵
ようさいのぶかず さく「きけんけっこんしきのず」 楊斎延一 作「貴顕結婚式之図」 /ホームメイト

本皇族浮世絵は、「楊斎延一」(ようさいのぶかず)が手掛けた、「大正天皇」(たいしょうてんのう)の結婚式を描いた作品と言われています。大正天皇は、1900年(明治33年)、皇太子のときに「九条節子」(くじょうせつこ)と結婚しました。中央右に正装姿の皇太子、中央左に十二単(じゅうにひとえ)を纏った皇太子妃が椅坐位。背景には、吉事を象徴する松竹梅や丹頂鶴が描かれ、和装姿の女性と対照的に洋装の男性、豪華な絨毯までも繊細かつ鮮やかに描かれた作品です。
大正天皇は、日本で初めて結婚式を行なった人物として知られています。天皇家に伝わる秘宝「三種の神器」のひとつ「八咫鏡」(やたのかがみ)を祀る宮中の「賢所」(かしこどころ)の神前にて婚儀を執り行ないました。大正天皇の婚儀を機に、それまで一般的に各家庭で行なっていた結婚式を、神前で行なう習慣が広まったと言われています。
本皇族浮世絵の作者である楊斎延一は、明治時代に活躍した浮世絵師です。戦争や宮中行事を描いた作品で名高い「楊洲周延」(ようしゅうちかのぶ)に弟子入りし、「日清戦争」や「日露戦争」など、戦争の「錦絵」(にしきえ:多色刷りの浮世絵)で評判になりました。また、美人画や風俗画、東京の名所を描いた作品でも、鮮やかな色調の佳作を数多く遺しています。