- 名所浮世絵
- 名所絵とは
かつしかほくさい さく「しょこくめいきょうきらん とうかいどうおかざきやはぎのはし」 葛飾北斎 作「諸国名橋奇覧 東海道岡崎矢はぎのはし」 /ホームメイト

本浮世絵は、「葛飾北斎」が描いた「諸国名橋奇覧」(しょこくめいきょうきらん)というシリーズ絵、全11図の中の1枚です。全国の珍しい「橋」を題材に描かれました。
「東海道岡崎矢はぎのはし」は、中央にそびえる、大きな曲線を描いた高く美しい橋が印象的。この橋は、東海道(現在の国道1号線)を通る「矢作橋」(やはぎばし:現在の愛知県岡崎市)です。橋の上には、大名行列が練り歩き、麓には立派な屋敷が立ち並ぶ城下町がそびえ、華やかな賑わいを見せている楽しい絵。実際に岡崎は、江戸幕府初代将軍「徳川家康」生誕の地で、矢作橋は重要な交通の要路として、たいへん栄えていました。矢作橋は、全長374mで、当時は日本最長と言われ、誰もが一度は訪れたいと思う憧れの場所だったのです。
今のように、テレビや情報誌がない時代、行ったことのない風景を見る術はありませんでした。しかし、葛飾北斎は見事に絵で描き、その欲求に応えたのです。1823年(文政6年)に「富士山」を題材に描いた「富獄三十六景」を発表して大人気となり、1833年(天保4年)に「諸国瀧めぐり」、「諸国名橋奇覧」を発表し、それまでなかった「風景画」という新しいジャンルを確立。絵師としての地位は不動のものとなりました。