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すずきはるのぶ さく「ちどりのたまがわ」 鈴木春信 作「千鳥の玉川」 /ホームメイト

本名所浮世絵は、陸奥国(むつのくに:現在の宮城県)の名所である千鳥の玉川(ちどりのたまがわ)が描かれています。
千鳥の玉川は、その名の通り千鳥の名所であり、宮城県多賀城市(たがじょうし)を流れる野田の玉川のこと。六玉川(むたまがわ)とも呼ばれ、古歌に詠まれた6つの玉川のひとつであり、浮世絵の好画題となっています。
本名所浮世絵では、千鳥が飛ぶ川べりを歩く女性と子供の姿が描かれました。画面左上には、能因法師(のういんほっし:平安時代の歌人)の和歌「夕されば 潮風こして みちのくの 野田のたま川 千鳥鳴なり」が書かれています。この歌は「古今和歌集」(こきんわかしゅう)に収載されており、千鳥の玉川という名称の由来になりました。
作者の「鈴木春信」(すずきはるのぶ)は、江戸時代中期に活躍した浮世絵師。彫師や摺師の協力を得ながら木版摺りの技術を飛躍的に向上させ、多色摺りの錦絵(にしきえ)を創始しました。活動期間は約10年と短いですが、優美で可憐な美人画に優れ、のちの浮世絵師にも大きな影響を与えています。また、春信様式とよばれる和歌や物語から発想を得て描いた見立絵も数多く手がけました。
