- 名所浮世絵
- 名所絵とは
うたがわさだひで さく「だいにっぽんふじさんぜっちょうのず」 歌川貞秀 作「大日本冨士山絶頂之圖」 /ホームメイト

本名所浮世絵は、富士山頂上の様子を、上からのぞき込むような鳥瞰図的に描いたもの。浮世絵内には、地図のように山頂の火口付近にどのような場所があるのか、どのようなことができるのか等が書き込まれ、一種の観光案内図とも言える絵図になっています。
富士山を遠望することは誰でもできますが、実際に富士山に登ったことがある人の方が少ないことから、頂上の様子を精緻に書き込んだ本絵図は、富士山に登ったことのない一般の人の興味を引くものでした。それと共に、観光案内図的な役割を果たしたことから、富士登山への誘いにもなったと言えます。
本名所浮世絵の作者「五雲亭貞秀」(ごうんていさだひで)は、「歌川国貞」(初代)に師事し、「歌川貞秀」という名でも知られる浮世絵師です。江戸時代後期から明治時代にかけて活躍し、本絵図のような鳥瞰式の一覧図や合戦絵で人気を博し、1867年(慶応3年)のパリ万博では幕府お抱えの浮世絵師として出展。また、幕末に横浜に移住し「横浜絵」を多く描いたことから「横浜絵の第一人者」と称されました。