- 名所浮世絵
- 名所絵とは
うたがわさだひで さく「さんごくだいいちやまのず(おもてふじ)」 歌川貞秀 作「三國㐧一山之圖(表富士)」 /ホームメイト

本名所浮世絵は、富士山を南麓側(静岡県側)から見た表富士を描いたもので、左奥には身延山が、右側には富士山の側火山である宝永山が描かれています。
本絵図の全体には、どこにどのような場所があるのか細かに書き入れられ、また、右上には富士登山をする人々の服装なども描かれた一種の観光案内図として機能。本絵図のように富士山が描かれたものは、富士信仰や富士講(ふじこう:富士山を信仰する人々によって組織された講社)と共に、庶民に求められる図柄でもありました。
本名所浮世絵の作者「玉蘭齋貞秀」(ぎょくらんさいさだひで)は「歌川貞秀」(うたがわさだひで)としても知られ、江戸時代後期から明治時代にかけて活躍した人気浮世絵師のひとり。本絵図のような名所浮世絵を多く残しましたが、美人画や役者絵も描き、特に「横浜絵」に関しては第一人者とも言われるほど、佳作を多く残したことで有名です。