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ようしゅうちかのぶ さく「こまきやまにやすまさひでよしをおう」 楊洲周延 作「小牧山ニ康政秀吉ヲ追フ」 /ホームメイト

本武将浮世絵で描かれているのは、1584年(天正12年)に起こった「小牧・長久手の戦い」(こまき・ながくてのたたかい)での一場面。同合戦は、「本能寺の変」で「織田信長」が亡くなったあとに繰り広げられた織田家の覇権争いに乗じて、「羽柴(豊臣)秀吉」軍と、信長の次男・信雄(のぶかつ)・「徳川家康」連合軍のあいだで勃発しました。
本武将浮世絵の中央には、家康の家臣で「徳川四天王」のひとりに数えられる「榊原康政」(さかきばらやすまさ)が、秀吉を猛追する姿が描かれています。作者の「楊洲周延」(ようしゅうちかのぶ)は、豪華絢爛な3枚続きの錦絵である「大奥」などの風俗画で有名な浮世絵師ですが、初期の頃は、このような力強い武者絵も得意としていたのです。
康政は、織田家に仕えていた秀吉の裏切りを咎める檄文(げきぶん)を出したことで秀吉の怒りを買い、自身の首に10万石の懸賞をかけられていました。しかしそれを物ともせず、秀吉の甥・秀次(ひでつぐ)の軍勢を、ほぼ壊滅状態に追い込むなどの武功を挙げています。勢いよく走る馬にまたがりながら長槍を巧みに扱う勇猛な康政を描き、彼がいかに武勇に優れた武将であったかを映し出している1枚です。