- 合戦浮世絵
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ようしゅうちかのぶ さく「かごしまゆうしそろえ」 楊洲周延 作「鹿児島勇士揃」 /ホームメイト

本合戦浮世絵は「西郷隆盛」(さいごうたかもり)を中心とした鹿児島の勇士を描いています。西郷隆盛は薩摩藩(さつまはん)出身の武士。藩主「島津斉彬」(しまづなりあきら)に見出され国事のために奔走、薩長同盟を結び徳川幕府を追い込みました。明治維新に尽力し、「維新の三傑」とまで称されます。しかし、その後自分が中心となって作ってきた明治政府に対して反旗を翻し、西南戦争が勃発。最後は逆賊としてその生涯を終えました。
本合戦浮世絵では、西南戦争における薩摩軍の陣中での様子を描いていると考えられます。中央に椅子に腰かけ、刀剣を差しているのが西郷隆盛です。その周りにいるのは、西郷隆盛が切腹した際の介錯を務めた「別府新助」(べっぷしんすけ)や戦いを主導したひとりである「桐野利明」(きりのとしあき)ら16名。みな戦支度をしており、刀剣の他、銃や槍などの武器を手にしています。
画面左の旗に書かれた言葉は「新政厚徳」(しんせいこうとく)。明治新政府が施政の大綱として掲げたもので、「厚き徳をもって新しい政をなす」という意味です。
作者の「楊洲周延」(ようしゅうちかのぶ)は、江戸時代末期から明治時代にかけて活躍した浮世絵師。幕末には、新政府に抵抗し、旧幕府軍として「戊辰戦争」(ぼしんせんそう)に参戦。戦後、旧幕府軍は処刑や領地没収などの処分を言い渡され、楊洲周延も謹慎となりました。処分後は画業に専念し、美人画や戦争絵など様々な作品を手がけました。