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うたがわよしとら さく「だいにほんろくじゅうよしょう かが とがしのすけいえなお」 歌川芳虎 作「大日本六十余将 加賀 冨樫之助家直」 /ホームメイト

本武将浮世絵は、「大日本六十余将」(だいにほんろくじゅうよしょう)のなかの1枚で、加賀介(かがのすけ:加賀国国司の介[すけ:次官])の「富樫家直」(とがしいえなお)を描いています。
富樫氏は、永延年間(987~988年)に「斉藤家助」(さいとういえすけ)の次男である「家国」が加賀国石川郡富樫郷(現在の石川県金沢市富樫町)を領地として、富樫氏を名乗ったことに始まる一族。1221年に起こった承久の乱後、富樫家国の兄・貞宗流の林氏が没落したことで、加賀国最大の武家となりました。本作に描かれた富樫家直は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動したと考えられる武将です。
本武将浮世絵で描かれたのは、日本刀を身に着け、火鉢の前に座った富樫家直の姿。火鉢の中央で赤々と燃える炭に火箸を突き刺し、険しい表情で正面を睨み付けています。上部の文章は、「春亭京鶴」(しゅんていけいかく)によって記された人物解説。富樫家直は、「源義経」(みなもとのよしつね)一行が安宅の関を通るのを見逃したと弟に嘘をつかれ、「源頼朝」(みなもとのよりとも)に咎められて領地を没収されたと記されています。
作者の「歌川芳虎」(うたがわよしとら)は、幕末から明治時代にかけて活躍した浮世絵師。「歌川国芳」(うたがわくによし)の門人で、「歌川貞秀」(うたがわさだひで)と人気を二分しました。武者絵や役者大首絵に優れています。
