- 合戦浮世絵
- 合戦絵とは
くにひで さく「しんせんめいよかがみ ちゅう くすのきまさつら」 久二秀 作「新撰名誉鏡 忠 楠正行」 /ホームメイト

本合戦浮世絵は、明治時代の浮世絵師「久二秀」(くにひで)による作品。南北朝時代の合戦「四條畷の戦い」(しじょうなわてのたたかい)の様子を描いています。場面中央に描かれているのが「楠木正成」(くすのきまさしげ)の嫡男「楠木正行」(くすのきまさつら)です。
1348年(正平3年/貞和4年)に起きた四條畷の戦いにて、南朝率いる楠木正行は、圧倒的な兵力を率いる北朝の室町幕府軍「高師直」(こうのもろなお)、「佐々木導誉」(ささきどうよ)と熾烈な戦いを繰り広げました。楠木正行軍は、序盤は高師直らを本陣から後退させるなど獅子奮迅します。しかし兵力差の前に楠木正行軍はとうとう力尽き、南朝側は楠木正行含め27人もの武将が討ち取られてしまいました。
本浮世絵では、楠木正行が振り上げた右腕には立派な刀が握られ、激しい弓の攻撃に逆らおうと立ち向かう様子を表現。そして楠木正行の右上には、討死にした楠木正行の配下達と思しき姿が影絵で描き込まれているなど細部までこだわっています。
■佐々木道誉と「道誉一文字」
南北朝時代の武将・佐々木道誉が所持していたのが太刀「道誉一文字」(どうよいちもんじ)です。本太刀は、備前国で興り多くの刀工を生み出した「福岡一文字派」の手によるもの。花が幾重にも重なっているように見える「重花丁子」の刃文を焼いたことでも有名。本太刀も、重花丁字が見事に現れた絢爛な出来栄えの1振です。