- 行列浮世絵
うたがわくにまさ さく「とうきょう そでがうらけい」 歌川国政 作「東京 袖ヶ浦景」 /ホームメイト

本行列浮世絵の手前に見られるのは、1868年(明治元年)、「明治天皇」が京都から東京へ行幸(ぎょうこう:天皇が外出すること)した際の行列です。画面中央に、明治天皇を乗せた輿(こし)が描かれています。明治天皇は、この「東京行幸」の前に「江戸」の地名を「東京」に改め、東京で政務を行うことを宣言。これに伴って明治天皇は、あまり馴染みのなかった自身の存在を江戸の人々に広く知ってもらうため、大々的な行列をなして「江戸城」(東京都千代田区)へ入城しました。
後ろに広がるのは、千葉県中部に面する東京湾東岸の「袖ヶ浦」(そでがうら)です。袖ヶ浦は、「日本武尊」(やまとたけるのみこと)の妃「弟橘媛」(おとたちばなひめ)橘の伝説で知られる場所。弟橘媛は夫が東国攻めに向かう途中、荒れ狂う海を入水して鎮め、船を渡らせました。この時に弟橘媛の袖が流れ着いた場所であったことから「袖ヶ浦」の名称が付けられたのです。
作者である江戸時代後期の浮世絵師「歌川国政」(うたがわくにまさ)は、もともとは紺屋(こうや/こんや:藍の染め物を生業とする者)の職人でしたが、「初代 歌川豊国」(うたがわとよくに)の門下に入り、上半身を大きく、表情を誇張して描く「大首絵」でその才能を発揮。しかし、作品総数は少ないため、「幻の絵師」とも言われています。
■浮世絵に描かれた刀剣
本行列浮世絵には、刀剣を腰に差した者など多数のお供が明治天皇を乗せた輿を囲み、隊列を組んでいる様子が描かれています。