- 行列浮世絵
うたがわくにさだ さく「ひめぎみさまぎょうれつのず」 歌川国貞 作「姫君様行列之図」 /ホームメイト

本行列浮世絵は、1862年(文久2年)に14代将軍「徳川家茂」(とくがわいえもち)に輿入れした、皇女「和宮」(かずのみや:[孝明天皇:こうめいてんのう]の異母妹)が江戸に向かう道中を画題とした作品です。
当時の江戸幕府は、孝明天皇の許可を得ずに外国と条約を結んだことで朝廷の怒りを買い、幕府内の分裂が起き、「尊王攘夷」(そんのうじょうい:天皇を敬い、外国人を打ち払う考え)などが盛んに叫ばれるようになっていました。そこで江戸幕府と朝廷の関係を修復させる「公武合体」(こうぶがったい)政策のために、和宮と徳川家茂は婚姻を結ぶこととなったのです。
輿入れ行列には、駕籠(かご)に乗った和宮の他、槍を持った武官や、華麗な着物の女官、装飾の描かれた長持を担ぐ荷運びがいました。しかし将軍に宮家や公家の姫が嫁ぐことはありましたが、皇女が嫁ぐのは初めてのこと。本行列浮世絵のように壮麗な行列だったと考えられますが、非常に高貴な身分だったため、和宮が通る沿道は、行列見物・住民の外出・商売は禁止されたと伝わります。
作者の「歌川国貞」(うたがわくにさだ)は、「歌川豊国」(うたがわとよくに)に師事した江戸時代後期の浮世絵師です。得意とした分野は役者絵や美人画などで、「歌川国貞と言えば、役者絵や美人画」といったように評されるほどでした。
■花嫁に贈られる刀剣
江戸時代当時、武家の女性は護身用の守り刀として、短刀を着物の帯に差して嫁いだと言います。それが現在、和装で結婚式を行う際に用いられる花嫁衣装の小道具「懐剣」(かいけん)です。