- 行列浮世絵
うたがわよしかた さく「ごじょうらくとうかいどうくわな」 歌川芳形 作「御上洛東海道桑名」 /ホームメイト

本行列浮世絵は、1863年(文久3年)に行われた徳川14代将軍「徳川家茂」(とくがわいえもち)の上洛を題材とする「御上洛東海道」シリーズの1作です。幕末に活躍した浮世絵師の最大派閥である歌川派の絵師16人が参加しました。
中央で馬に乗り上がろうとしている人物は徳川家茂であるとされています。左手側に「桑名城」(三重県桑名市)の石垣が見えることから、本行列浮世絵は「七里の渡し」の桑名側の渡し口に将軍一行が到着した場面を描いたと考えられるのです。
「七里の渡し」は、東海道五十三次の宮宿(現在の愛知県名古屋市熱田区)と桑名宿(現在の三重県桑名市)をつなぐ海上交通路として栄えました。
本行列浮世絵の作者は、江戸時代末期の浮世絵師「歌川芳形」(うたがわよしかた)です。「歌川国芳」(うたがわくによし)に師事し、武者絵などを手がけましたが24歳という若さで没しています。
■桑名で活躍した刀工「村正」
「千子村正」(せんご/せんじむらまさ)を開祖として、室町時代から江戸時代初期にかけて伊勢国桑名郡で栄えた刀工一派が「村正」です。村正が鍛えた刀剣の最大の魅力はその切れ味にあり、勇猛で知られる三河国(現在の愛知県東部)の武士達に重宝されました。「徳川家康」も好んだとされる一方、徳川家にかかわる事件で使われたことや、切れ味の鋭さなどから妖刀伝説も生まれています。
