- 行列浮世絵
うたがわさだひで さく「とうかいどうろくごうわたしふうけい」 歌川貞秀 作「東海道六郷渡風景」 /ホームメイト

本行列浮世絵は、東海道「品川宿」と「川崎宿」間(現在の東京都と神奈川の間)にある多摩川の「六郷の渡し」を描いた絵です。斜め上から描かれた鳥瞰図で、絵の中には高尾山や八王子などの地名が書かれており、地図的な表現を用いています。
多摩川にはかつて「徳川家康」が作った「六郷大橋」が架けられており、千住大橋、両国橋と合わせて「江戸の三大橋」にも数えられていました。
徳川家康が「関ヶ原の戦い」に向かう際にも、この橋を渡ったと言います。しかし、1688年(元禄元年)7月に起きた大洪水により六郷大橋が水没。それ以前にも、洪水が起きるたびに橋が流されていたことから、江戸幕府は橋を架けるのをやめ、舟渡しを考案。当初は、町人達が舟渡しをしていましたが、1709年(宝永6年)3月から役人が請け負うこととなり、以降は町人と役人達で、品川宿と川崎宿の財政を支えていきました。
本浮世絵を描いた「五雲亭貞秀」(ごうんていさだひで)は、「歌川貞秀」(うたがわさだひで)とも名乗ります。「歌川国貞」(うたがわくにさだ)の門人で、「日本八景づくし」や「大江戸十景」などの風景画を発表し、注目を浴びました。五雲亭貞秀は、地理に強いこだわりを持ち、鳥瞰による一覧図を数多く描いています。江戸時代末期には、北海道松前から九州まで自ら歩いて詳細な鳥瞰一覧図、名所図を刊行しました。