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こばやしきよちか さく「このえほうたいのしんぐん」 小林清親 作「近衛砲隊ノ進軍」 /ホームメイト

本戦争絵に描かれているのは、1904年(明治37年)の「日露戦争」(にちろせんそう)で、近衛砲隊(このえほうたい)が進軍して、清国(現在の中国)の九連城(現在の遼寧省にある街)を占領した様子です。「五月一日、午前九時を以て 九連城を占領せり」との詞書も添えられています。
「鴨緑江の戦い」(おうりょくこうのたたかい)に勝った日本軍は、清国領に渡河して、九連城周辺でロシア軍への攻撃を開始。すると、ロシア軍は九連城を放棄して退却し、日本軍は無血で九連城を占領したのです。
近衛砲隊とは、「西郷隆盛」(さいごうたかもり)が率いた「御親兵」を母体とする連隊(グループ)で、大砲など、火砲で敵を撃滅・制圧する兵士のこと。日露戦争では、第1軍に編入され、鴨緑江の戦い、「遼陽会戦」(りょうようかいせん)、「沙河会戦」(さか/しゃかかいせん)、「奉天会戦」(ほうてん/フォンティエンかいせん)に参加し、活躍しました。
本戦争絵を描いたのは、「小林清親」(こばやしきよちか)です。1847年(弘化4年)、江戸本所(現在の東京都墨田区)生まれ。油絵を「ワーグマン」、日本画・漆絵を「河鍋暁斎」(かわなべきょうさい)、「柴田是真」(しばたぜひん)から学び、木版画に洋画風の構図と光線を取り入れた新手法「光線画」を創案しました。
■浮世絵に描かれた刀剣
近衛砲隊が所持していたのは「三十二年式軍刀」です。刃長が長い「騎兵用」タイプと刃長が短い「輜重兵」(しちょうへい:軍事品の輸送が主な任務)タイプの2種類がありますが、本浮世絵に騎兵用軍刀が描かれています。刀身は日本刀ではなく、洋鉄を原料として、機械で大量生産されました。