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ちょうせんでんぽう 朝鮮電報 /ホームメイト

本戦争浮世絵に描かれているのは、日清戦争(にっしんせんそう)。朝鮮の支配権をめぐって、日本と清国(中国)の間で起きた戦争です。
明治27年(1894年)1月、朝鮮では政府の暴政に憤った民衆が蜂起し、反乱は全土に拡大しました。「東学党(とうがくとう:新興宗教のひとつ)の乱」もしくは「甲午農民戦争」(こうごのうみんせんそう)と呼ばれる事件です。反乱を鎮圧できない朝鮮政府は清国に援軍を依頼し、日本は天津条約に基づき清国に対抗。日本人居留民(きょりゅうみん)保護を理由に出兵します。同年8月1日、日本が清国へ宣戦布告しました。
本戦争浮世絵は、「明治27年8月印刷 同年発行」の記載が有りますが、描かれている戦地は不明です。サーベルを武器に戦う日本兵が描かれています。当時の日本では、日清戦争の経緯は朝鮮からの電報で伝えられ、浮世絵が写真の代わりに報道的な役割を持っていました。
日本軍は漢城(そうる)、平壌(ぴょんやん)、旅順(りょじゅん)などで連勝し、明治28年(1895年)3月、遼東半島(りゃおとんはんとう)を制圧します。同年4月17日、下関条約(しものせきじょうやく:日清講和条約)が締結され、遼東半島、台湾、澎湖諸島(ほうこしょとう)は日本に割譲されます。しかし、同月23日、ロシア・ドイツ・フランスの三国干渉により、日本は遼東半島を返還しました。
本戦争浮世絵は、落款(らっかん:画家のサイン)がないため作者不詳ですが、版元は若狭屋与市(わかさやよいち:本名は山本与一)。河鍋暁斎(かわなべきょうさい)、豊原国周(とよはらくにちか)、安達吟光(あだちぎんこう)など浮世絵を多数出版しています。