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うたがわくにまさ さく「にちろせんそうがほうそのさん」 歌川国政(五代) 作「日露戦争画報其三」 /ホームメイト

本戦争浮世絵は、1904年(明治37年)に開戦した「日露戦争」に行われた「旅順口攻撃」を題材にした戦争絵です。旅順口攻撃とは、朝鮮半島への海上輸送を確保し、制海権を脅かすロシアの艦隊を無力化する目的で行われた攻撃のこと。
本戦争浮世絵には、旅順港に居るロシア旅順艦隊に対し、日本軍駆逐艦が奇襲攻撃を行っている場面を描いています。日本軍はロシアのバルチック艦隊が到着する前に決着を付けようと短期奇襲を試みましたが、決定的な打撃を与えることはかなわず、陸軍による「旅順攻囲戦」が行われることとなりました。
戦争絵とは、その戦争の様子を庶民へすみやかに伝達する戦争報道の一種で、人々の戦意や気分を高揚させ煽動する役割を持った錦絵です。本戦争絵も同様に、開戦した日露戦争の様子を細かに伝えるため、絵の左下には旅順口攻撃においてどのように日本軍が立ち回ったのかが記されています。
本戦争絵の作者は、「柳蛙」(りゅうあ)や「梅堂」(ばいどう)などの別名で知られる明治時代の浮世絵師「五代目 歌川国政」(うたがわくにまさ)です。「歌川国政」(四代)の長男として生まれ、はじめは父の教えを受けましたが、京都画壇の一大勢力「四条派」の門下に入り「竹内柳蛙」(たけうちりゅうあ)と名乗るようになります。
「日清戦争」や「日露戦争」などを題材とした戦争絵を多く手掛けた他、歌舞伎役者の「死絵」(しにえ:主に歌舞伎役者が亡くなった際に追悼の意味で描かれる似顔絵)なども描きました。