- 皇族浮世絵
つきおかよしとし さく「こうこくれきだいきんのうきそい」 月岡芳年 作「皇国歴代勤王競」 /ホームメイト

本皇族浮世絵は、3枚続で、歴代天皇と忠義を尽くした「勤王の人物」が描かれています。歴代天皇に囲まれて、勤王達はとても誇らしげ。
画面右の1枚目に描かれている天皇は、朱雀天皇(すざくてんのう)、応神天皇(おうじんてんのう)、舒明天皇(じょめいてんのう)。一方、勤王は、上平太貞盛(しょうへいださだもり)、武内宿禰(たけうちのすくね)、形名ノ妻(かたなのつま)です。上平太貞盛とは「平貞盛」(たいらのさだもり)のことで、「平将門」(たいらのまさかど)を滅ぼした人物。また、武内宿禰はたいへん長寿で、天皇5代に仕え、形名ノ妻は夫の剣で蝦夷(えぞ)を平定させました。
画面中央の2枚目は、聖武天皇(しょうむてんのう)、桓武天皇(かんむてんのう)、景行天皇(けいこうてんのう)と、景行天皇の王子の日本武尊(やまとたけるのみこと)。一方勤王は、蝦夷を征討した「坂上田村麻呂」(さかのうえのたむらまろ)、遣唐使(けんとうし)として学び朝廷の中枢として活躍した「吉備朝臣真備」(きびあそんまきび)です。
また、画面左の3枚目は、仁徳天皇(にんとくてんのう)、持統天皇(じとうてんのう)、称徳天皇(しょうとくてんのう)。一方、勤王は、高句麗(こうくり:当時の朝鮮半島北部)から贈られた鉄の盾を弓で射抜いた的戸田宿禰(いくはのとだのすくね)、平安京遷都に功を立てた「和気清麻呂」(わけのきよまろ)です。歴代の天皇をお守りするために、それぞれの時代に生きた勤王達が、多くの功績を遺したのです。
本皇族浮世絵を描いたのは、「月岡芳年」(つきおかよしとし)。1850年(嘉永3年)12歳のときに「歌川国芳」に入門。血みどろ絵を描いて、一躍人気絵師となりました。 一時は神経を患いましたが、明治時代になってからも、歴史画や新聞挿絵を描いて活躍した人物です。
■日本武尊の刀剣「天叢雲剣」
日本武尊の刀剣として有名なのが、「天叢雲剣」(あめのむらくものつるぎ)です。東国の蝦夷を静定する際、伊勢にいた叔母「倭姫命」(やまとひめのみこと)から授かって、無事に平定したことが伝えられています。