- 皇族浮世絵
つきおかよしとし さく「だいにほんしりゃくずえ だいはちじゅういちだいたかくらてんのう」 月岡芳年 作「大日本史略図会 第八十一代 高倉天皇」 /ホームメイト

本皇族浮世絵の題にある「高倉天皇」(たかくらてんのう)は、「後白河天皇」(ごしらかわてんのう)の第7皇子。第81代とありますが、正しくは第80代の天皇です。在位中は後白河法皇による院政期であった他、「平清盛」(たいらのきよもり)の全盛時代でもありました。両者の関係が悪化すると、高倉天皇はその現状を憂いて皇太子に譲位。ほどなくして、21歳の若さで亡くなりました。
本皇族浮世絵には「高倉天皇」と題がついていますが、実際は平安時代末期の武将「平重盛」(たいらのしげもり)と、その父・平清盛を中心に描いた作品です。
1177年(安元3年)、「鹿ヶ谷事件」(ししがたにじけん)が起こります。鹿ヶ谷事件は、後白河法皇の近臣達が、京都の鹿ヶ谷で平家討伐の密議を行ったもの。この事件を受けて、平清盛は後白河法皇を幽閉しようとし、平重盛はそれを諫めましたが、本作はそのときの様子を描いたと推定されるのです。
画面左の眉間に深いしわを寄せた人物が平清盛、その向かいにいるのが平重盛で、こちらは困り顔。正反対の表情がユニークです。日本刀を腰に佩き、背後に控える武士達もなんとも言えない表情をしています。
作者の「月岡芳年」(つきおかよしとし)は幕末から明治時代にかけて活躍した浮世絵師です。のちに「大蘇芳年」(たいそよしとし)と称しました。師は「歌川国芳」(うたがわくによし)。歴史画や美人画などを手掛けています。