- 皇族浮世絵
つきおかよしとし さく「だいにほんめいしょうかがみ みちのおみのみこと」 月岡芳年 作「大日本名将鑑 道臣命」 /ホームメイト

本皇族浮世絵は、初代天皇となる「神武天皇」(じんむてんのう)に仕えた豪族「道臣命」(みちのおみのみこと)を描いています。道臣命は、神武天皇による東征の折、大和国(現在の奈良県)山中を飛ぶ八咫烏(やたがらす)を発見し、神武天皇に引き渡した人物です。
八咫烏は3本足の神獣で、神武天皇を大和国の橿原(現在の奈良県橿原市。大和朝廷を置いた場所)まで案内したとされていることから「導きの神」とも呼ばれています。
道臣命は、神武天皇に八咫烏を引き渡したこと、そして東征軍の先鋒として活躍した功績などが評価されました。神武天皇即位の際には、邪気を払うとされた諷歌(そえうた)や倒語(さかご)を詠む栄誉を授かり、子孫は大伴氏と名を変え、代々皇室に信頼され大きく栄えていきます。
本浮世絵を描いたのは、江戸時代末期から明治時代初期まで活躍した浮世絵師「月岡芳年」(つきおかよしとし)です。月岡芳年は、美人画、歴史絵、役者絵など多種多様な浮世絵を手掛け、こののちには西洋画の影響を受けた作風で独自の世界観を作り上げました。また本作の「大日本名将鑑」は、歴史上の偉人や英雄の揃い物となり、月岡芳年の傑作として知られています。
■神話に登場する刀剣
神武天皇は、日本神話の主神「天照大神」(あまてらすおおみかみ)の来孫(5代あとの子孫)として「古事記」や「日本書紀」に登場。そんな古事記や日本書紀には、多くの神剣や霊剣が出てきます。黄泉の亡者を薙ぎ払った「十拳剣」(とつかのつるぎ)、八岐大蛇の尾から出てきた「草薙剣」(くさなぎのつるぎ)など、多くの刀剣が神々の英雄譚を彩りました。
