- 明治天皇浮世絵
うたがわくにとし さく「ぎんこんたいてんにじゅうばしごしゅつもん」 歌川国利 作「銀婚大典二重橋御出門」 /ホームメイト

本浮世絵は、1894年(明治27年)3月9日に催された明治天皇と昭憲皇太后の結婚25周年、すなわち銀婚式を祝う「大婚二十五年御祝典」を描いたもの。西洋の風習であった結婚記念日のお祝いを日本で最初に行った例とされ、このあと「○婚式」という形での結婚記念日が日本でも定着するきっかけになりました。
本浮世絵は、画中右側の馬車に乗った明治天皇と昭憲皇太后が、二重橋を渡って皇居外へ出ていく場面をクローズアップしています。
祝典当日の明治天皇と昭憲皇太后は午前中は皇族や政治家、各国大使らからの挨拶を受け、午後は青山練兵場(現在の明治神宮外苑)での観兵式に参列。夕方に皇居へ戻り、宴会が開かれました。 祝典に呼ばれたのは皇族や政府関係者が中心でしたが、民間人でも四位以上の位を受けた者は招待を受け、当時54歳だった渋沢栄一も出席しました。
本皇族浮世絵の制作者である歌川国利(うたがわくにとし)は、3代目「歌川豊国」(うたがわとよくに)の弟子。慶応年間(1865~1868年)からの作画が確認され、開化絵の他に「風俗画」や「東京名所」シリーズなど、近代化していく東京をとらえた作品を多く発表。
歌川国利の他の作品に、本浮世絵と同じ構図の「御鳳輦之図」がありますが、本浮世絵の方がより具体的な情報を含んでおり、現代の報道写真のような役割を果たしていたことがうかがえます。