- 明治浮世絵
つきおかよしとし さく「かごしまぼうとしょうぞうりゃくでん」 月岡芳年 作「鹿児島暴徒肖像略伝」 /ホームメイト

本浮世絵には、「西南戦争」に臨んだ「薩軍」(さつぐん:薩摩軍)の幹部の肖像が略歴と共に描かれています。
収録されているのは、右から池上四郎(いけのうえしろう)、桐野利秋(きりのとしあき)、淵辺高照(ふちべたかてる)、西郷小平(さいごうこへい)、西郷隆盛(さいごうたかもり)、村田新八(むらたしんぱち)、町田啓次郎(まちだけいじろう)、前原一格(まえばらいっかく)、篠原国幹(しのはらくにもと)の9人です。
中心に座する黒い軍服姿の西郷隆盛の後ろには、赤地に白で「新政厚徳」(しんせいこうとく)の4文字が染め抜かれている旗があります。その意味は、「万民に平等な新しい政治」。薩軍は戦(いくさ)において、この旗を掲げて進軍したと言われていることから、明治新政府に対する不満の受け皿となっていたと考えられるのです。
木版多色刷りの浮世絵である明治時代の「錦絵」は、「新聞錦絵」として報道の役割も果たしていたと言われています。本浮世絵の作者「月岡芳年」(つきおかよしとし:大蘇芳年[たいそよしとし])は、「郵便報知新聞」などにおいて新聞錦絵を描いていました。