岡山県倉敷市にある「UKIYO-E KURASHIKI/国芳館」(くによしかん)は、倉敷美観地区を一望できる旅館を再生した歌川国芳(うたがわくによし)のミュージアムです。UKIYO-E KURASHIKI/国芳館の概要や見どころについてご紹介します。
UKIYO-E KURASHIKI/国芳館 外観
「歌川国芳」は、江戸時代後期に活躍した、天才浮世絵師。「武者絵の国芳」と呼ばれるほど歴史上の英雄を描いた作品を得意とし、豪傑達の全身に彫られた刺青(いれずみ)や、ダイナミックな構図で人々を魅了しました。
また、反骨精神と風刺に富み、出版統制令によって自由に絵が描けない時代に、人間を猫や金魚などの動物に置き換えた「戯画」や「判じ絵」を描いて幕府の検閲を逃れ、その斬新な発想力は他の浮世絵師の追随を許さないほどでした。
「UKIYO-E KURASHIKI/国芳館」は、そんな歌川国芳の魅力を世界中の人に知って欲しいと、2021年(令和3年)3月、岡山県倉敷市美観地区に開館した美術館です。
UKIYO-E KURASHIKI/国芳館に行ったらぜひ観賞して欲しい、いちばんおすすめの浮世絵を、館長さんにうかがいました。
UKIYO-E KURASHIKI/国芳館でぜひ観て欲しい浮世絵は、「相馬の古内裏」(そうまのふるだいり)です。歌川国芳の代表作で、巨大で不気味な骸骨がとにかく強烈。
大判3枚続という大きな絵で、画面いっぱいに骸骨を描いた大胆で迫力のある構図は、当時の浮世絵界に革命を起こしました。
歌川国芳作「相馬の古内裏」
この浮世絵は、「山東京伝」(さんとうきょうでん)の読本「善知安方忠義伝」(うとうやすかたちゅうぎでん)を題材としたもの。相馬の古内裏とは、平安時代に「平将門」(たいらのまさかど:別名は相馬小次郎)が相馬猿島郡(現在の茨城県)に建てた屋敷のこと。
画面左にいるのが、平将門の娘「滝夜叉姫」(たきやしゃひめ)です。滝夜叉姫は、「平将門の乱」で敗れた亡き父・平将門の遺志を継ぎ、屋敷に妖術で妖怪を集めて、朝廷へ復讐を企みました。これを知って妖怪退治にやって来たのが、画面中心にいる「大宅太郎光国」(おおやのたろうみつくに)。
大宅太郎光国は「源頼信」(藤原道長四天王)の家臣で、将門一門の残党狩りを行っていました。滝夜叉姫は、この大宅太郎光國に応戦するため、家臣「荒井丸」と共に、御簾の中から、1体の巨大な骸骨姿の妖怪を登場させたのです。
骸骨姿の妖怪は不気味だけれど、愛らしい。時代を超えて、観る者に強烈な印象を与える、迫力のある作品。日本美術の格好良さに気付いて欲しい、歌川国芳の傑作です。
相馬の古内裏の展示室
下足場
1階はエントランス。
もとは由緒ある伝統的な旅館だったことを思わせる広い下足場があり、靴を脱いでスリッパに履き替えるスタイルです。
まるで、歌川国芳の家を訪れた客人のように、リラックスして浮世絵鑑賞が楽しめます。
階段下の展示室
UKIYO-E KURASHIKI/国芳館は、館内すべてが展示室。
全11部屋に、版画はもちろん、1点物である肉筆画までを含んだ約100点の歌川国芳の浮世絵が飾られています。
作品の解説文も書かれているので、知識を深めながら観賞することができます。
庭の眺めも美しい
展示室から展示室へと移動する際、窓から美しい日本庭園や倉敷の街並みを眺めることができます。
江戸時代の天才が描いた浮世絵と当時を偲ぶ景観を楽しめて、ノスタルジックな気持ちになれる美術館です。
ミュージアムショップ
ミュージアムショップでは、歌川国芳の代表作が描かれたポストカードやクリアファイル、てぬぐい、Tシャツなどのグッズが販売。
浮世絵に関する書籍まで揃っています。
UKIYO-E KURASHIKI/国芳館の基本情報 | |
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施設名 | UKIYO-E KURASHIKI/国芳館 |
所在地 | 〒710-0054 岡山県倉敷市本町1-24 |
電話番号 | 090-8242-1443 |
交通アクセス | JR「倉敷駅」下車、徒歩約15分 |
開館時間 | 10:00~18:00(最終入館17:30) |
定休日 | 火曜日(祝日の場合は開館)年末年始及び臨時休館 |
駐車場 | なし |
入場料 | 一般 1,300円(1,000円)、大学・高校生 1,000円(800円) 中学・小学生 500円(300円)、未就学児 無料 ※( )内は15名以上の団体料金です。 ※障害者手帳提示者及びその介護者は300円引き |
公式サイト | https://ukiyo-e-kurashiki.jp/ |