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うたがわひろしげ さく「ながやまとおとうみのかみ」 歌川広重 作「長山遠江守」 /ホームメイト

本武将浮世絵に描かれているのは、長山遠江守(ながやまとおとうみのかみ)が鉞(まさかり)を振りかざしている姿。
舞台は、南北朝時代の「武蔵野合戦」(むさしのがっせん)。武蔵国及び相模国(現在の東京都、埼玉県、神奈川県)の各地で、足利尊氏(あしかがたかうじ)をはじめとした北朝軍と、新田義貞(にったよしさだ)の二男・新田義興(にったよしおき)と三男・新田義宗(にったよしむね)率いる南朝軍との間で起きた戦いです。
「太平記」によると、南朝軍の赤松氏範(あかまつうじのり)が、敵である長山遠江守を遥か遠くに見つけ一騎討を申込もうと馬を駆ります。追いついた赤松氏範は「卑怯にも敵に後ろを見せるのですか。」と、長山遠江守を侮辱しました。長山遠江守は振り返って嘲笑(あざわら)い、鉞(まさかり)を構えて一騎討を受けて立つのです。
一説では、長山遠江守は土岐明智氏(ときあけちし)の土岐頼元(ときよりもと)と同一人物とされています。土岐明智氏は清和天皇(せいわてんのう)から続く源氏の支流氏族で、平安時代末期に美濃国(みののくに:現在の岐阜県)を本拠地とした一族です。
本武将浮世絵の作者は、江戸時代後期に活躍した歌川広重(うたがわひろしげ)。本名は安藤重右衛門。代表作は「東海道五十三次」(とうかいどうごじゅうさんつぎ)、「名所江戸百景」(めいしょえどひゃっけい)など。風景画を得意とし、その作品はのちに、エドゥアール・マネ、クロード・モネ、ゴッホら印象派の画家に大きな影響を与えました。
