- 行列浮世絵
うたがわくにつな さく「ごじょうらくとうかいどうしょうの」 歌川国綱 作「御上洛東海道庄野」 /ホームメイト

1863年(文久3年)、徳川14代将軍「徳川家茂」(とくがわいえもち)は約3,000人を率いて上洛しました。将軍としては229年ぶりのことです。この上洛は当時大変な話題となり、幕末の浮世絵界で最大派閥となった歌川派の絵師16人が参加して、浮世絵シリーズの「御上洛東海道」が制作されました。
本行列浮世絵の舞台である庄野(現在の三重県鈴鹿市)は、東海道五十三次の45番目にあたります。この地を題材とした浮世絵では、歌川派で最もよく知られる「歌川広重」(うたがわひろしげ)作の「東海道五十三次・庄野」が有名です。歌川広重の庄野ではにわか雨に慌てる旅人の様子が描かれましたが、本行列浮世絵では天候にも恵まれたなか、将軍一行がしずしずと進む情景が細やかに描写されています。
本行列浮世絵の作者は、江戸時代後期の浮世絵師「歌川国綱」(うたがわくにつな)です。初代「歌川豊国」(うたがわとよくに)の門人として学び、挿絵入り娯楽本の一種「合巻」(ごうかん)の挿絵などを描きました。
