うたがわひろしげ さく「すえひろごじゅうさんつぎかなや」 歌川広重（二代） 作「末広五十三次金谷」 ／ホームメイト

本行列浮世絵は、「末広五十三次」（すえひろごじゅうさんつぎ）または「末広五十三駅図絵」（すえひろごじゅうさんえきずえ）と呼ばれるシリーズの1作で、1865年（慶応元年）に行われた徳川14代将軍「徳川家茂」（とくがわいえもち）の上洛を題材としています。

このとき徳川家茂は、上洛ののち「大坂城」（現在の大阪城）へ入り、「第二次長州征伐」の指揮を執ることを目的としていたため、随行する家臣達は陣笠や陣羽織を身に付け、太刀（たち）や打刀（うちがたな：刀のこと）といった刀剣を携えていました。

また、奥に続く一団が装備しているのは、「剣付き鉄砲」（銃剣を装着した小銃）です。しかし、当時は将軍を浮世絵に描くことは禁止されていたため、本行列浮世絵の中にも徳川将軍を示す家紋などは描かれていません。

本行列浮世絵の舞台は、東海道五十三次の24番目の宿場「金谷宿」（現在の静岡県島田市）です。大井川の対岸に位置する「嶋田宿」と同じく、大井川が増水すると旅人が足止めされ、その間は特に賑わったと伝えられています。

本行列浮世絵の作者は2代「歌川広重」（うたがわひろしげ）。「東海道五十三次」などのシリーズで有名な初代「歌川広重」の門人となり、江戸時代末期から明治時代初期にかけて活躍しました。風景画の他、美人画や花鳥画、武者絵などで名を成しています。