- 妖怪浮世絵
つきおかよしとし さく「しんけいさんじゅうろっかいせん ていしんこうよるきゅうちゅうにてもののけをあやしむのず」 月岡芳年 作「新形三十六怪撰 貞信公夜営中にて怪を懼しむの図」 /ホームメイト

本妖怪浮世絵は、平安時代初期の公家「藤原忠平」(ふじわらのただひら)と鬼を描いた作品です。藤原忠平は「宇多天皇」(うだてんのう)の側近として活躍し、その死後は皇室より「貞信公」(ていしんこう)の諡(おくりな:生前の評価に基づく呼び名)を賜るほどの傑物でした。
本妖怪浮世絵は、歴史物語「大鏡」に書かれている逸話をもとにしています。藤原忠平が宮中で何者かに太刀の鞘を掴まれ振り返ると、そこには毛むくじゃらで爪の長い鬼がいました。鬼が襲いかかろうとしていたところ、藤原忠平は太刀を抜いて鬼を威嚇。見事、追い払ったのです。
政(まつりごと)を得意とした藤原忠平でしたが、本妖怪浮世絵では鬼を恐れない勇ましい面もある人物として描かれています。
作者となる「月岡芳年」(つきおかよしとし)は、江戸時代末期から明治時代にかけて活躍した浮世絵師です。12歳で「歌川国芳」(うたがわくによし)に入門し、歴史画や武者絵、美人画などを手掛けました。
■公家が用いた太刀拵
公家が佩用した太刀拵を「飾太刀拵」(かざりたちごしらえ)や「儀仗大刀」(ぎじょうのたち)と言います。高位の公家が儀式の際に用いた太刀拵で、刀身にほとんど反りがなく、拵の装飾が豪華であるのが特徴です。
