- 妖怪浮世絵
つきおかよしとし さく「てんえんよねんあき ようかいのつちぐも みなもとのよりみつが
しんじょをなやまし さかたのきんときらとのいしてそのあやかしをはらわんとほっすのず」
月岡芳年 作「天延四年秋妖怪土蜘蛛悩源頼光
寝所酒田公時等宿直欲払其妖図」 /ホームメイト

平安時代中期、相模国(現在の神奈川県)足柄山に生まれ、山の精である山姥(やまうば)に育てられた「坂田金時」(さかたのきんとき)は、武将の「源頼光」(みなもとのよりみつ)に見出されて家臣となりました。
あるとき、土蜘蛛(つちぐも)の妖怪が禿(かむろ:遊女に仕えた幼女)に化け、源頼光の寝所に現われて悩ませます。そこで、坂田金時ら家臣が囲碁をしながら妖怪の出現を待つことになったのです。
本武将浮世絵では、碁盤に伏せて眠ったふりをしながら、薄目を開けて妖怪の隙を窺う坂田金時の様子が描かれています。
作者の「月岡芳年」(つきおかよしとし)は、静かに漂うその場の緊張感を見事に表現しました。武者絵や歴史絵、美人画、役者絵など多種多様な浮世絵を手掛けた月岡芳年ですが、特に血を描いた無残絵や、妖怪を描いた作品で名高く、本武将浮世絵も妖怪を得意とした月岡芳年の真骨頂と言えます。