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おちあいよしいく さく「さとみはっけんでん ほうりゅうかくのず」 落合芳幾 作「里見八犬伝 芳流閣之図」 /ホームメイト

本役者浮世絵は、1863年(文久3年)、芝居小屋の「江戸守田座」で上演された「南総里見八犬伝」(なんそうさとみはっけんでん)の歌舞伎作品「波乗船音宝曾我」(なみのりふねおとのよきそが)より、「芳流閣」(ほうりゅうかく)のシーンを描いた作品です。南総里見八犬伝は、「曲亭馬琴」(きょくていばきん)が著した勧善懲悪がテーマの長編伝記小説で、江戸時代を代表する戯作演芸作品と言われています。
本作では、「中村芝翫」(なかむらしかん)演じる逆賊の汚名を着せられた主人公「犬塚信乃」(いぬづかしの)と、「市川市蔵」(いちかわいちぞう)演じる犬飼源八(いぬかいげんぱち)による芳流閣の屋根上の大立ち回りを、表情豊かに。また躍動感たっぷりと表現。
犬飼源八は刀を差していますが、取り手として十手と鎖で犬塚信乃を捕えようとします。里見八犬伝の中でも特に盛り上がる屈指の名場面であり、作者の「落合芳幾」(おちあいよしいく)以外にも、「歌川国貞」(うたがわくにさだ)などが手掛けた浮世絵作品も現存しています。
落合芳幾は、「歌川国芳」(うたがわくによし)の門下生で、幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師。天才浮世絵師として名高い「月岡芳年」(つきおかよしとし)と競作した無残絵「英名二十八衆句」(えいめいにじゅうはっしゅうく)や、明治に起こった事件を新聞から拾い出し、絵画化した「錦絵新聞」なども手掛けています。