- 合戦浮世絵
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おちあいよしいく さく「かわなかじまだいかっせんのず」 落合芳幾 作「川中島大合戦之図」 /ホームメイト

本合戦浮世絵は、1561年(永禄4年)に勃発した第4次「川中島の戦い」を題材とした作品です。江戸時代に著された武田家の軍学書「甲陽軍鑑」(こうようぐんかん)にて、同合戦では「武田信玄」(たけだしんげん)と「上杉謙信」(うえすぎけんしん)による一騎打ちがあったことが書かれており、本合戦浮世絵ではその場面を描いています。
同年9月9日、武田信玄は八幡山(現在の長野県長野市)に布陣し、上杉謙信が布陣していた妻女山(現在の長野県長野市)に別働隊を向かわせました。武田軍は妻女山にいる上杉軍をつついて平野に追い込み、待ち伏せして攻撃する「啄木鳥戦法」(きつつきせんぽう)を使います。その由来は、木をつついた啄木鳥が飛び出した虫を食べる様子に似ていたことから付けられました。しかし武田軍の動きを察知していた上杉軍は、夜の間にこっそり妻女山を降り、武田信玄の本陣・八幡山を目指します。翌朝、総大将である上杉謙信自ら本陣に突入し、武田信玄に刀を振り下ろしました。
本合戦浮世絵左には斬りかかる上杉謙信がおり、中央にはその攻撃を軍配で受け止める武田信玄が描かれています。間一髪のできごとをまるで写真のように切り取った一騎打ちの名場面。互いに相手を睨み付ける眼力、風になびく着物や馬の尾など迫力満点です。
作者の「落合芳幾」(おちあいよしいく)は、江戸時代末期から明治時代の浮世絵師で「歌川国芳」(うたがわくによし)の門下になります。兄弟弟子である「月岡芳年」(つきおかよしとし)との共作で、歌舞伎や講談の無残な場面を描いた「英名二十八衆句」(えいめいにじゅうはっしゅうく)などが有名です。その他、新聞や雑誌の挿絵などを手掛けました。