- 妖怪浮世絵
つきおかよしとし さく「だいにほんめいしょうかがみ たいらのこれもち」 月岡芳年 作「大日本名将鑑 平惟茂」 /ホームメイト

本武将浮世絵は、「平惟茂」(たいらのこれもち)が戸隠山(とがくしやま:長野県長野市)で鬼退治をしたという能の一曲「紅葉狩」(もみじがり)を題材としています。
平安時代中期、「冷泉天皇」(れいぜいてんのう)の命を受け、鬼退治に赴いた平惟茂一行は、戸隠山で紅葉狩りに興じる高貴な風情の美女とその侍女達に出会いました。美女に宴へと誘われた平惟茂は、女達の舞を眺めながら酒を楽しむと、不覚にも寝入ってしまいます。
そのとたん、美女は本性を現し鬼へと変じますが、平惟茂は目を覚ましません。すると、平惟茂の夢に「八幡大菩薩」(はちまんだいぼさつ)の神勅(しんちょく:神の与えた命令)を伝える山神が現れ、美女の正体を告げると共に神剣を授けます。目を覚ました平惟茂は、神剣を抜き放ち、激しい戦いの末見事に鬼を切り伏せるのです。
本武将浮世絵の制作者「月岡芳年」(つきおかよしとし)は、この戦いの場面を迫力ある構図で描きました。幕末から明治時代前期にかけて、武者絵や美人画などの他、無残絵と呼ばれる独自の作風で人気を博した月岡芳年の才気あふれる作品です。
